1. HOME >
  2. 健康経営とは >
  3. 健康経営を始める前に

健康経営を始める前に

健康経営を始める前に

ここでは、健康経営を始める前に、法令遵守の観点から、必ず実施していただきたい事項について解説します。

産業医の選任

職場において労働者の健康管理等を効果的に行うため、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生法施行令第5条)

POINT

「常時使用する労働者」にカウントするかどうかの判断基準は?

契約期間や週の労働時間をもとにして判断するのではなく、常態として使用しているかどうかで判断します。仮に週1回しか勤務しないアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用する労働者としてカウントする必要があります。

「常時使用する労働者」にカウントするかどうかの判断基準は?

POINT

産業医の選任義務がない場合、医師等による健康管理は必要ない?

産業医の選任義務がない場合でも、労働者の就労上の安全配慮について医師に意見を求め、医師の指導の下に事業主及び労働者は適切な健康管理及び業務管理に努めなければなりません。
労働者数が50人未満の小規模事業場の事業主や労働者を対象に、地域産業保健センターが健康相談・健康指導などの産業保健サービスを無料で提供しています。詳しくは産業保健総合支援センターもしくは、お近くの地域産業保健センターへお問い合わせください。

産業医の選任義務がない場合、医師等による健康管理は必要ない?

相談窓口・関連団体

産業保健総合支援センター・地域産業保健センター(小規模事業場の事業主等)
労働基準監督署

定期健康診断

事業者は、常時使用する労働者を対象に、身長、体重や血圧等の定められた項目について、1年以内ごとに1回、医師による検査・測定等を行わなければなりません。(労働安全衛生法第66条、労働安全衛生規則第44条)

また、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、『定期健康診断結果報告書』を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。(労働安全衛生規則第52条)

POINT

定期健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは?

① 期間の定めのない労働契約により使用される労働者(労働契約の契約期間が1年以上である場合等を含む)であり、かつ

② その労働者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である労働者が対象となります。また、1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の概ね2分の1である労働者に対しても、実施が望ましいとされています。

定期健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは?

相談窓口・関連団体

労働基準監督署

定期健康診断の事後措置

健康診断の結果、異常の所見があると判断された労働者については、その健康保持等に必要な措置について医師等の意見を聴取し、必要があると認めるときは、就業場所の変更などの適切な措置を講じなければなりません。(労働安全衛生法第66条の4、5)

POINT

産業医を選任していない事業者はどうすればよい?

産業医の選任義務のない(労働者数50人未満)小規模事業者においては、地域産業保健センターを活用し、健康診断の結果について医師等からの意見聴取を実施することができます。

産業医を選任していない事業者はどうすればよい?

相談窓口・関連団体

産業保健総合支援センター・地域産業保健センター(小規模事業場の事業主等)

健診データの提供

事業者は、健康診断に関する記録の写し(健診データ等)の提供を医療保険者(健康保険組合、協会けんぽ等)から求められた場合、それを提供しなければなりません。(高齢者の医療の確保に関する法律第27条第3項)
なお、事業主が健診実施機関から医療保険者が健診データを取得することについての同意書を医療保険者へ提出することで、健診データの提供を行うことができる場合もあります。詳細については医療保険者へお問い合わせください。

POINT

健康診断の記録は個人情報だけれど、提供しても大丈夫?

上記の場合における健診の記録の写しの提供は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく事業者の義務であり、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当することから、本人の同意なしに提供を行うことができます(視力等、特定健康診査等の項目に含まれない定期健診の結果の情報を除く)。

健康診断の記録は個人情報だけれど、提供しても大丈夫?

相談窓口・関連団体

医療保険者

特定健康診査(特定健診)

生活習慣病の予防のため、年度中に40才になる方から74才までの方を対象に行う、メタボリックシンドロームに着目した健診です。

POINT

定期健康診断とは別に、特定健康診査を行う必要があるの?

労働安全衛生法に基づき事業主が実施する定期健康診断等が、特定健康診査に相当するものである場合、特定健康診査を行ったものとされます(高齢者の医療の確保に関する法律第21条)。詳細については医療保険者にご相談ください。

定期健康診断とは別に、特定健康診査を行う必要があるの?

相談窓口・関連団体

医療保険者

特定保健指導

特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、保健師、管理栄養士等の専門スタッフが生活習慣を見直すサポートを行うものです。

特定保健指導は生活習慣病の発症リスクの程度に応じて、「動機付け支援」と「積極的支援」に分けられ、専門スタッフとの面談のうえで個別の行動目標を設定し、その目標達成に向けたサポートが行われます。

POINT

特定保健指導はどうやって受ければいいの?

特定健康診査を行った結果、特定保健指導の対象者となった方には、医療保険者から受診の案内が届きます。詳細については医療保険者にご相談ください。

特定保健指導はどうやって受ければいいの?

相談窓口・関連団体

医療保険者

受動喫煙防止対策

事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、事業者や事業場の実情の把握・分析を行い、実施ができる受動喫煙防止措置のうち最も効果的な措置を講じるよう努めなければなりません。

また、多数の者が利用する施設の管理者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講じるように努めなければなりません。

なお、2020年4月1日に健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、多数の者が利用する施設等の類型に応じ、一定の場所以外の場所における喫煙が禁止されることとなります。

(参考)なくそう!望まない受動喫煙。|厚生労働省

ストレスチェック

ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、労働者のストレス状態を調べる検査です。事業者が労働者のストレス状態を把握し、医師の面接や職場の改善を行うことで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するためのものです。

事業者は、労働者に対し、1年以内ごとに1回、医師等によるストレスチェックを行わなければなりません。(労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生規則第52条の9)

なお、ストレスチェックについては、常時使用する労働者が50人以上いる事業場については実施する義務がありますが、50人未満の事業場においては、当分の間努力義務となります(労働安全衛生法附則第4条)。

POINT

ストレスチェックの実施対象となる労働者は?

ストレスチェックの実施対象は、定期健康診断の対象者と同様となります。ただし、ストレスチェックの実施義務が課されることとなる「常時使用する労働者が50人以上いる事業場」であるかどうかの判断については、産業医の選任義務と同様の基準となるため、注意が必要です。

ストレスチェックの実施対象となる労働者は?

相談窓口・関連団体

ストレスチェック制度サポートダイヤル
産業保健総合支援センター(小規模事業場の事業主等)