豊田合成株式会社では、健康保険組合の協力のもと、疾患がある人だけではなく、全従業員に対する健康管理に力を入れています。
　会社の記念行事の際に行った健康に関する講演会では、ただ知識を身につけるだけではなく、ストレッチなど体を動かしながら、ユーモアを交えた実践形式で行い、従業員同士が楽しみながら健康づくりに取り組むことで、講演後には健康に対して前向きな感想が多く得られ、自発的に行動に移す従業員が多く見られました。
　健康に対する意識や知識は、取り組むきっかけを作り、楽しさを知ってもらうことで行動に変えることができます。

　対象者への保健指導実施率(完結率)は、2018年には42.6％でしたが、2019年には98.0%まで改善しました。
　以前は、就業時間外に電話やメールも使い個別に特定保健指導を行っていましたが、就業時間内の集団指導に切り替えることで、大きく改善できました。
　尚、定期健康診断の事後措置としては、疾患が疑われる所見の場合は「産業医」が、BMI値が25以上かつ他の所見がある人には「保健師」が、それ以外は「看護師」が担当し、専門的な知見を活かした保健指導(健康相談)を行っています。

　数ある取組の中で、大きく改革を行ったのが「禁煙対策」でした。
　当初は、事業所ごとに対策が異なっていたため、2017年1月から“喫煙による喫煙者本人の健康障害リスク低減と非喫煙者の受動喫煙リスク低減“および、喫煙可能時間の制限による「卒煙への後押し」をねらいに「全社一斉 所定労働時間内禁煙」に取り組みました。反対意見もありましたが、就業時間中の喫煙については、“いつでも吸える”事技職に対し、非喫煙者や技能職から不満の声があったこともあり、目立ったトラブルも無く進めることができました。そこで、半年後には、禁煙対策の最終目標として、「2020年1月から国内全事業所の敷地内禁煙（近隣住民の皆様に受動喫煙被害を発生させることのないよう敷地境界付近や周辺地域も含む）」を掲げました。当初は、この目標に否定的な意見もありましたが、社内で働く全ての人へ受動喫煙による健康障害から守り、“望まぬ受動喫煙”を防ぐことを目的に会社の方針として掲げ、事前に従業員への地道な理解活動はもちろんのこと、派遣会社様や請負会社様に繰り返し協力依頼を行ったことで、敷地内禁煙開始から1年が経過した現在、生産や離職に影響を及ぼすことなく継続できています。
　また、このタイミングで禁煙を促進させるため、保健師による禁煙支援や外部講師による禁煙講演会を実施しています。講演会の際は、肺年齢測定や禁煙補助剤の配布などを行い、喫煙者に実際に体験してもらうことで、禁煙への後押しとなっており、2016年時点では、喫煙率は約40％でしたが、2020年は約27 %まで減少しています。

　メンタルヘルス対策としては、人事部・健康保険組合・労働組合・安全健康推進部による「メンタルヘルス委員会」を設置し、保健師・看護師による個別相談や外部心理士によるカウンセリング、管理監督者への教育などを行っています。2020年度からは、メンタルヘルス不調の影響が早期に出やすい「睡眠」に着目し、ウェアラブル端末を使って「睡眠の質の見える化」を行い、不調サインを早期にキャッチすることで、メンタルヘルス不調者の再発防止に取り組んでいます。



 

　2015年度から、関連会社様や取引先様を含め約1500名が参加する大規模な駅伝大会を開催しています。参加者は大会に向け、職場単位でトレーニングや練習会を行うなど、運動機会の増加につながっています。2020年度からは、個人での健康管理を推奨するため、県が配信するアプリ「あいち健康プラス」を活用し、長期連休中に日々の歩数を競う「健康チャレンジ」を実施し、上位者を表彰するなど、運動機会の促進に取り組んでいます。また、外部講師による講演会を開催し、その中で簡単な運動や体力測定を実施することで、社員が健康や運動を意識し行動するようになり、職場単位で工夫しながら健康づくりに取り組むようになりました。